瞳を閉じたユミの唇に、そっと自分の唇を重ねると指輪にもキスを落とす。
パジャマのボタンを上から順に一つづつ外してゆくのが、なんだかとても気恥ずかしい。
ルームランプの光量を、最小限にしぼると月明かりと微かな光の中にユミの華奢な身体が浮かび上がった。
夏に見た時も綺麗だと思ったけれど、今夜の方がずっと綺麗に見える…。
毎日毎日顔を合わせているのに、毎日毎日可愛く見える、などと言ったらユミは笑うだろうか?
それとも、それもユミの魔法なのだろうか…。
「祐巳ちゃん…綺麗だね…」
セイのポツリと言った言葉に、ユミは慌てて顔を隠しながら笑う。
「そ、そんな事っ!ふ、普通ですよ」
「ううん…祐巳ちゃんは綺麗だよ…だから顔隠さないで」
「だ、だって…恥ずかしい…」
「ふふ…祐巳ちゃんドキドキしてる」
セイは優しくユミの胸に耳を当て心臓の音を確かめる。
ユミの心臓はトクントクンと、いつもより少し早いペースでリズムを刻んでいた。
「せ、聖さまはドキドキしてないんですか?」
ユミはむぅ、と頬を膨らませセイを軽く睨み付けると、プイとそっぽを向いてしまった。
「まさか、私だってドキドキしてるよ。…触ってみる?」
セイはそう言ってユミの手を掴むと、そっと自分の胸へとあてがい、ね?とにっこりと微笑んだ。
「ホントだ…聖さまもドキドキしてる…一緒ですね?」
「うん…一緒だ」
セイとユミは少し微笑み、何度も何度もキスを重ねた…。
ゆっくりと、お互いを確かめあうように重ねたキスは、
二人の中の迷いや罪悪感を洗い流してくれるように甘く溶けてゆく…。
「痛かったら言って…我慢しなくていいからね」
「はい、大丈夫ですよ…」
セイはユミの笑顔を確認すると、そっと指を首筋から胸へと滑り下ろした。
ユミを傷つけない様、優しく優しく…。
「…ん…ぁ」
ユミの口から零れる甘い声が、セイの中の何かに火をつける。
もう、後戻りは出来ない…後戻りしたくない…逃がしたく無い…そんな想いがセイの中に芽生えた。
「…声…もっと出して…」
セイはユミにおねだりするように甘えた声でそう言うと、
ユミの腰の辺りを指先で軽くなぞった…と、その時、ユミの口から微かな笑い声が漏れたのだ。
「…何?」
「せ、聖さま…く、くすぐったい…」
ユミは身体をよじらせて、セイの指先から逃れようとするけれど、
セイの手がしっかりとユミの腰を固定していて動けない。
「くすぐったいの?」
「は、はい…ふ、ふふふ…」
セイは必死になって笑いを堪えるユミに、少しガッカリしたけれど、その反面少しだけ安心していた。
「なんだ…そっか…」
そんなに気構える事など無かったのだ、と。
欲しがって欲しがって、危うくユミを壊してしまうところだった。
自分ばかりが暴走してしまうところだった…。
「?聖さま…怒ってます?」
不安げなユミに、セイはにやりと笑うとユミの鼻に軽く噛み付き言った。
「くすぐったがってられるのも今のうちだけだよ、祐巳ちゃん」
セイはそう言ってユミの首筋に舌を這わせる。
「んん…や…ぁ」
「ふふ…気持ちいい?」
セイは顔だけあげるとユミの表情を確認する。
ユミはセイと目があうと、ぱっと顔を隠し頭をふるふると振った。
どうやら相当恥ずかしいらしく、こっちを見るな、と言っているらしい。
セイはそんなユミが堪らなく可愛くて、思わずユミの顔を覗き込んだ。
「な、何ですか!?」
「いや、可愛いなぁと思って。…ここ、くすぐったい?」
セイはそう言って人さし指でユミの腰をつつくと、ニヤリと笑う。
「ひゃうっ!!せ、聖さま!?」
「あはは!祐巳ちゃん、かーわいい!」
セイはユミを抱き締めると、またキスをする…さっきのとは違う、深い深いキス…。
「んぅ…ん…んぁ…んぅむ」
「…っふ…ん」
ユミにつられてかどうかは分からないけれど、セイの口からも甘い声が零れる…。
頭の奥がしびれるような感覚…まるでぬるま湯の中にいるみたいで、とても気持いい。
「せい…さま」
「うん?」
「す…き…」
トロンとした表情でそう呟くユミ…。
「うん…私も…祐巳ちゃんが好き…これからもずっと…一緒に居てくれる?」
「…もちろんですよ…」
ユミの淡い微笑みに、セイの心の中に温かいものが流れ込んでくる。
胸が、一杯になる…。
セイはユミの頬を軽く撫でるとその手を胸へと移動させた…。
優しく包み込むようにユミの胸に触れると、ユミの口からまた甘い声が漏れる。
セイはユミの胸の先にある小さな固いものに触れ、それを指先でそっと摘まみ上げた。
「んあ…ぅん…っん」
ユミは痛いのか痺れるのかよく分からない感覚の中で、サラリと落ちて来たセイの髪にそっと手を伸ばした。
スルスルと流れるようなセイの髪は、セイの動きに合わせてまるで踊っているように見える。
セイはそんなユミを見つめながら、今度はその固いものを口に含むとそれを舌先で転がし始めた。
「ふぁ…ああ…ぅぁ…」
ユミの甘い声が、二人の体温が部屋の窓を白く曇らせてゆく…。
セイは空いた指でユミの内股をそっとなぞり、下着の上からユミの秘密の場所をゆっくりなぞった。
「ふぁ…せ、さまぁ…ぁん…」
ユミの秘密の場所は、すでに下着の上からでも分かる程濡れている…。
甘い蜜で出来た下着の染みは、ユミがセイの愛に応えた証拠。
セイはそれが嬉しくて、幸福で…。
「祐巳ちゃん…もうこんなに…」
「い、言わないで…ふぁ…」
セイがするすると下着を脱がす時に、
セイの指が少しでもユミの身体に触れる度、ユミの身体は小さく痙攣する…。
セイはそんなユミの秘密の場所に直に人さし指を這わせると、ユミの中心にある小さな蕾に触れた…。
「んぁっ?!」
その途端、ユミの身体になんとも言えない電流が走り、まるでバネのように身体が大きく仰け反った。
胸を触られたり、キスとはまた違う感覚が全身を駆け巡る…。
「祐巳ちゃんの…すごく熱くなってる…」
小さかった蕾が、セイが触れる事によって次第に熱く、固くなってゆく…。
まるでセイに触れられる事を喜ぶように…。
蕾の下にある湖からは熱くて甘い蜜が、トロトロと溢れ出してくる…。
「はぁ…ぁ…んん…ぅっく…ふ」
頭の中の芯の部分が鈍く疼き、甘く溶ける感覚がユミを襲う。
セイを受け入れるには十分すぎる程に溢れた蜜は、小さな水音をたてながら部屋に響いた…。
「祐巳ちゃん…いい?」
「ん…だいじょ…ぶ…です…」
「私につかまっていいから…ね?」
セイはそう言ってユミの熱く濡れた湖に、ゆっくりと指を沈めてゆく…。
ユミの身体はビクンと大きく痙攣して、セイの指をギュウっと締め付ける。
「うぁ…はぁはぁ…せ…さまぁ…あん…っく」
どこか焦点の定まらないユミの切なそうな顔が、セイの胸をギュっと締め付ける。
「痛い?」
「ん…ちょっと…だけ…んぁ…あぁ…はぁ」
セイが指を静かに動かす度に、ユミの腰が微かに浮く。
と、その時、セイに指先に何かが当たった…。
それは、ユミが初めての体験であるというしるし…。
「せ…さま…大丈夫…ですから…私を…」
「…祐巳ちゃん…」
セイはユミに軽くキスをすると、大丈夫だから、と呟き指先に少しだけ力を入れた…。
と、同時にプツンと何かが切れる感じがする。
その途端今まで感じた事のない快感と痛みが身体全体に走り、
頭の中が真っ白になるような、そんな感覚に捕われた…。
「んああっ!」
「…っく!」
ユミは短くそう叫ぶと、セイの肩に爪を立てる…そして…。
「ぅっ…はぁ…あ、はは…これで…あたし…せ、さまのだぁ…」
そう言ってセイの首に腕を回すと、愛おしそうにセイを抱き寄せ、
セイの肩…自分の爪痕にキスを一つ落としてにっこりと微笑んだ。
「…祐巳ちゃん…」
まさかユミがそんな事を言うなんて想像もしていなかったセイは、
ユミの瞳から溢れる涙を人さし指でそっとすくい上げ、それを口に含み言った。
「…本当にありがとう…私を好きでいてくれて…ありがとう…」
セイはユミの胸に顔を埋めると、ユミの暖かさに、愛おしさにそっと瞳を閉じた…。
クリスマス…大嫌いだったこの日が、今年から変わるような…。
そんな気がした夜…。
「ところで祐巳ちゃんさ、本当にクリスマスしなくて良かったの?」
セイは、腕の中でまどろんでいるユミにそう尋ねると、
ユミは顔を上げしばらくセイを見つめていたけれど、やがてにっこり笑ってこう言った。
「クリスマスは別に構いませんけど…サンタさんには来てほしいです」
「ええ〜、サンタさん?来るかなぁ…」
「…来ないんですか?」
ユミはポツリとそう言って、セイの腕に頭を沈めると小さな寝息をたてはじめた。
セイは幸せそうに寝息をたてるユミの髪を優しく撫でながら、
ユミをおこさぬよう小さな声で呟く…。
「明日の朝の…お楽しみ、だよ」
と。
ルームランプが消え、月明かりが外にちらつく雪に反射する…。
窓の外の幻想的な世界…クリスマスのこの夜…貴方が産まれた事に心から感謝した…。
まるでおとぎ話のような世界。
そんな世界に投げ込まれたように、
私はあなたを幸せにしよう。
万人が救えないなら、ただ1人、
君だけは私が守ろう…。
そうしていつか、2人で幸せな眠りにつくんだ。
おとぎ話の続きが書けなくなるまで…。