海の日と言えば?

そりゃやっぱり海でしょう!!

じゃあ海といえば?

水着!!


朝から私ははしゃいでいた。どうしてかって?

そりゃ、今日は前から約束していた日だから。

なかば強引に取り付けた約束だったけど、それでも約束は約束。

なんてたって夏だからね。夏と言えば海。海と言えば水着と相場は決まってる。

そしてその水着を今日は見に行く約束を祐巳ちゃんとしたんだから、

これをはしゃがずにいろと言う方が無理ってもんだ。

しかしあれだな、電車とゆうのはどうしてこんなにも眠気を誘うのかな…。しかもどんどん混んでくるし…。

「ふぁ…っふ」

眠い。非常に眠いぞ。やっぱり昨日あんまり眠れなかったからかな…。やばいなぁ…。

祐巳ちゃんとの待ち合わせの駅まであと7つか。・・・長いな・・・今のうちに少し寝ておこう・・・。

「・・・でさ、昨日あいつがさぁ・・・っ!ねぇ、ちょっと!!あの人マジキレイじゃない?」

「え〜?あんたの趣味でしょ〜?どれよ?・・・うわっ!?ほんとだ・・・」

あ〜もう、うるさいな。そんなに美人がどこにいるって?んん?・・・な、なんだ?今思いっきり目逸らした?

・・・全くなんなんだ?結局美人見逃すし・・・あぁ〜もうダメだ・・・とりあえず寝よう・・・。

「あ、あのー終点ですよ・・・?」

しゅう・・・てん・・・?・・・えーっと・・・しゅうてんってなんだっけ・・・?えーーっと・・・しゅう・・・てん・・・終点!?

やばっ!!寝過ごした!!!・・・ん?あぁしかもこの人にもたれ掛かってたんだ…申し訳ない事したな・・・。

「あ、あのすみませんでした!それじゃあ急いでるんで!!」

「あっ、いえ、それじゃあ・・・」

うわぁー恥ずかしい!!何やってんだ私!…しかも絶対遅刻だ…。

えっと、今9時50分だから…よし、アレに乗れば間に合うか?


「はぁ、はぁ、はぁ・・・間に合った・・・」

うぅ、久々に全力疾走したら堪えるなぁ…やっぱり歳の所為か?・・・いや、運動不足か・・・。

まぁでもぎりぎり間に合いそうだし・・・良かった・・・。



「聖様!遅いですよ!!5分遅刻ですよ?」

5分?あぁ〜本当だ・・・。

「・・・ごめん。実はさ・・・」

「ふふ、どうせ寝過ごしたとかでしょう?」

うっ、バレてる・・・それにしても今日も可愛いな・・・おっと、つい笑いが・・・。

「なんです?遅刻したのにニコニコして…さては反省してませんね!?」

「えっ?いやいや、してるしてる。ただ今日も可愛いな、と思ってさ」

「なっ、何言ってるんですか!もう!!ほら、行きますよ」

おっ、赤くなった。ふふふ。

「うん・・・あのさ・・・手・・・つなぐ・・・?」

「・・・はい!」

・・・どうしよう、すごく幸せなんですけど・・・うわぁ・・・そんな満面の笑顔でこっち見ないでよ、お願いだから!!

「聖様?どうかしました?顔赤いですよ?」

「い、いや、なんでもないよ。さて、どこから行く?」

・・・赤いか・・・ヤバイなぁ・・・今日一日我慢できるかな・・・って、何を!?

「どうしましょうか?端から順番に覗きます?それとも大きめの所で決めちゃいますか?」

「そうだな、大きい所で決めちゃおうか。無かったら他の所回ろう」

「そうですね。じゃあ行きましょう!」

祐巳ちゃん、なんだかんだ言っても乗り気じゃない。なんだ、もっと嫌がるかと思ってたのに。




・・・うわぁ〜すっごい量・・・どっから見て回ればいいんだろう・・・。

「・・・すごいね?どれにする・・・?」

「・・・はあ、ぱっと見じゃわかりませんよ・・・聖様はどんなのがいいですか?」

私?そりゃあビキニとかがいいけどなぁ・・・

でも祐巳ちゃんにはパレオの方がいいかも・・・意外な所でワンピースとか・・・?

「そうだなぁ、なんでも似合うと思うけどあんまり露出度が高いのは禁止ね。」

露出度が高いと祐巳ちゃんの事だ。きっとわんさか変なのに言い寄られるに違いないもん。

それだけは避けないと・・・。

「?何言ってるんですか。聖様はどれが着たいですか?って言ってるんですよ」

・・・は?私!?えっ?ちょっと待って!!どうして私のを選ぶの!?

「・・・え〜っと、祐巳ちゃん・・・?今何選ぼうとしてる・・・?」

「えっ?ですから聖様のを選ぼうとしてますけど・・・」

「・・・どうして?今日は祐巳ちゃんの選びに来たんだよね?」

「ええ。でも私一人で海に行くわけじゃないですからね。聖様のもいるでしょ?」

うっ、こ、こいつ・・・それでさっきから機嫌が良かったのか・・・しかも何?その笑顔・・・。

「い、いや、でもほら。私はTシャツとか着るからさ・・・別にどんなのでもいいよ・・・」

「何言ってるんですか!Tシャツ焼けとかしたら後々恥ずかしいですよ?

加東さんとかに笑われちゃいますよ?それでもいいんですか?」

むぅ、確かに・・・Tシャツ焼けは恥ずかしいか・・・でもだからと言って今選ぶの!?

「あのさ、じゃあ別に後でもいいじゃない?ほら、心の準備がさ・・・」

「え〜?・・・わかりました。その代わり絶対ですよ!?ちゃんと2人で決めましょうね?」

・・・あぁそっか、祐巳ちゃんは2人で決めたかったんだ・・・今を逃したら私が一人で決めちゃうと思ったのかな。

なんだ、そっか・・・ふふ・・・なんだ。

「分かった。じゃあ後で私のも2人で決めよう。約束する。」

「ええ、約束です。へへへ・・・」

うぅ〜可愛いよぉ・・・どうしよう・・・もう・・・涙出そう・・・。

「・・・じゃあ祐巳ちゃんどんなのがいいの?」

あぁーいかんいかん、軌道修正しよう、うん。でないと我慢できなくなる・・・本気で・・・って、だから何を!?

「そうですねぇ〜どんなのがいいでしょうか?」

「さっきも言ったけど、露出度が高いのはダメ!!

変なのが寄ってくるから!でも、ワンピースはもう卒業だよね、流石に。

・・・とゆうことはやっぱりここらへんのやつかな!」

「・・・い、いやぁ〜どうでしょう・・・私その・・・む、胸ないし・・・」

えぇ〜?可愛いのになぁ。このフリルのスカートついたやつ・・・それに胸なんて・・・。

「そうかな〜?そんなに気にするほど無い事ないでしょ?

それぐらいの方が私はいいけどな…それにこれ祐巳ちゃんっぽくて可愛いけどな」

「そ、そうですか・・・?じゃあこれにします?」

「えっ?試着しないの?それに他のも見てみようよ〜」

「し、試着!?す、するんですか!?見るんですか!?」

・・・そりゃ見るでしょう・・・一人で納得されても切ないし・・・。

「はは、そりゃ見るよ、他に誰が見るのさ。ほらほら、モデルさんになったつもりで、ファッションショーしようよ!」

「えっ、ええ〜?ちょ、ちょっと・・・本気です・・・よね」

ええ、本気ですとも。ここまで来てこのまま帰れませんから!!

「じゃ、じゃあ試着してきますけど、覗いたりしないで下さいよ・・・?」

「了解。」

あぁ、祐巳ちゃんの水着・・・楽しみだなぁ・・・カワイイんだろうなぁ・・・ふふ、楽しみだ・・・。




「せ、聖様?これでいいんですかね・・・?」

おっ!終わったか!?どれどれ・・・。

「・・・うっわ・・・」

ヤバ・・・鼻血でそう・・・やっぱ思ったとおりすっごい似合うし・・・。

「へ、変ですか?ねぇ、変なんですか!?うわっ、ってなんなんです?ねぇ、聖様ってば!!」

「いや、いやいや変じゃないよ、全然変じゃないよ!

むしろすごく似合ってる・・・ただちょっと・・・その・・・想像より・・・似合ってたから・・・その・・・ごめん」

・・・うわぁ〜・・・なんか、きっと今誰も居なかったら絶対・・・私・・・。

「・・・そうですか・・・?じゃあコレにしようかな・・・はぁ、緊張したぁ・・・さて、じゃあ着替えますね?」

「う、うん」

・・・・・・頑張れ、聖・・・・・・。


「さて、じゃあ次は聖様のですね!!どんなのがいいですかね。

・・・あっ、こんなのどうです?Tシャツ着なくても大丈夫そうですよ?」

「あー、本当だね。今こんなのもあるんだ・・・ふ〜ん、いろいろあるもんだね」

なるほどね〜、タンクトップにビキニか・・・。しかもご丁寧にホットパンツまでついてるんだ・・・。

「あっ!!これなんか聖様にすごく似合いそう!!着てみてくださいよ!!」

「えっ、ええ〜?着るの?ここで?」

「何言ってるんですか。私も着たじゃないですか!」

「う、う〜ん・・・わかった・・・じゃあ着てくる・・・覗いちゃダメだからね」

「何言ってるんです、誰かさんじゃあるまいし」

「あはは、そりゃそうだ」

う〜む、しかしこれは水着とゆうよりは部屋着だなぁまるで・・・。





「どうかな〜?祐巳ちゃん」

「・・・わぁ〜・・・いいですよ!!やっぱり聖様って色素が薄いからこうゆう色にあいますね」

そ、そうかな〜?似合うかな・・・?自分じゃよく分からないんだけど・・・でも祐巳ちゃんなんだか涙目だし・・・。

「・・・じゃあコレにする?」

「はい!!」

「・・・なんか、割とあっさり決まったね?」

「そうですね、でも大体決まってましたから!聖様はこんな感じだろうな?とか」

「へえ、そうなの?じゃあ予想通りだった?」

「いえ・・・それ以上でした・・・ふふふ、今日は来てよかったですね?」

・・・予想以上・・・か。そっか祐巳ちゃんでもそんな風に考えたりするんだ・・・私だけじゃないんだ・・・。

「うん、ほんと来て良かったよ・・・ところでさ、祐巳ちゃんの水着だけどさ、本当にアレで良かったの?

あまりにもあっさり決めちゃったけどさ」

「・・・だって聖様が・・・」

「ん?・・・私?」

「・・・だって聖様があんなに喜んでくれたし・・・」

「へっ?」

じゃあ私が喜んだからアレにしたの・・・?うわ、うわっ、どうしよう・・・ダメだもう我慢できない!!

「・・・祐巳ちゃん、ちょっと・・・」

「なっ、どこ行くんです!?」

「いいから!・・・お願い・・・」





「・・・こんな所でどうしたんですか・・・?」

・・・ごめんね、でもどうしても今欲しいんだ・・・。

「・・・祐巳ちゃん・・・好きだよ・・・・・・好き・・・」

「せっ、聖様!?・・・んっ・・・あ・・・っふ・・・ん・・・ぁふ」

…祐巳ちゃん…キミは知らないんだろうね…私はいつも…キミの言動一つでこんなにも心をかき乱される事を…。

そして、キミの行動一つで私の心臓はいつも止まりそうになるほどドキドキする事を・・・。

「・・・もう、こんな所で・・・どうするんですか?誰かに見られたら・・・」

「・・・誰も見やしないよ・・・邪魔なんてさせない」

そう、邪魔なんてさせない、誰にも・・・神様にさえも・・・。




「・・・海、2人きりで行こうね・・・」

セイはそう言って、もう一度ユミの唇に自分の唇を重ねた・・・。

その柔らかい感触は、まるで海の家で食べる冷たいソフトクリームのようだった・・・。

「・・・ええ、約束です。それと・・・聖様・・・大好き・・・」








一言だけ。


その一言だけが、欲しいんだ。


それ以外は何もいらないから・・・


それ以上は望まないから・・・


その一言を毎日ちょうだい・・・。











海の日