二人だけの天の川は、空にある天の川よりもずっと、輝いて見えた・・・。
どんなに体を近づけてもどうせ一つにはなれない。
それならば少しでも長く、そして深く抱き合っていたいと願うのは、
ただのわがままなのかな?
月明かりがぼんやりと抱き合ったままの二人を照らし出す。
雲の合間から時折顔を見せる月は、幻想的な影を作る。
セイは何も言わずそっと腕をユミから外すと、そのままベッドに仰向けに押し倒した。
そして、ユミの上に覆いかぶさり頬を撫でる。
セイの冷たい手は、頬から唇、そして首筋をつたってゆく…。
「…ん…」
さりげない感覚に声が漏れる。
私、こんなに敏感だったっけ…?それとも会ってなかったから…?
あれほど見慣れていた筈のセイの顔が何故か直視できない。
今、目を合わせてしまうとそのまま吸い込まれてしまいそうで…。
セイはユミのおでこにチュッと軽く一つキスを落とすと柔らかく笑った。
「好きだよ、祐巳ちゃん」
心の底の方から湧き出るような言葉…スキ…。
「…はい、私も…」
そしてゆっくり目を閉じ、セイの唇を待つ。
まるでそれが合図だとでも言うように・・・。
最初は軽いキスを沢山して、徐々に激しさをましてゆく。
セイはユミの唇をペロリと一舐めすると、まるでご馳走を食べる前のようにゆっくりと唇を舌でなぞってゆく。
やがて、セイの舌はユミの唇を分け入って口内に侵入し、激しくかき回す…。
「っん…はぁ…ぁふ…」
体が疼くような感覚にユミは思わず声を漏らす。その声が余計にセイを刺激して激しさは増す一方。
「んん…っあっふ」
ようやくセイはユミの舌を解放すると、唇を離した。
すでに涙目になっているユミの髪を優しくなでると、髪を手にとり口付ける。
「・・・あ・・・」
目線だけはこちらを見据え、どこか挑戦的なセイの顔はなんだかいつもより妖艶で、なんだかクラクラする。
…そして、セイの唇は髪から頬、口、首筋へと降りてゆく。
「…っあ…んっ」
セイの柔らかい髪から、すっきりしたミントの香りがふわりと漂う・・・。
・・・と、ここでセイはユミを抱き起こし膝の上に座らせると、パジャマのボタンを一つづつはずし始めた。
指先がほんの少し肌に触れただけでビクンと反応するユミの体にセイは目を細める…。
「…今日はやけに敏感だね…」
セイの台詞にユミの顔は真っ赤になってゆくのが判った…。
少しトーンを落として囁く様に話すセイにそれだけで体が反応してしまう…。
濡れた瞳でセイを見つめるユミに、セイは胸が熱くなる…。
壊さないように…優しく…撫でる様にパジャマの上から体のラインをなぞってゆく。
ユミの息がだんだん上がるのを確認しながら、わざとゆっくり焦らすように脱がせる…。
「・・・キレイ・・・」
思わずポツリと呟いた…。同じ体なのにどうしてこの子はこんなにキレイなんだろう…。
触れる事をためらってしまうほど、輝いてみえる。
私が触ったら穢れてしまわないだろうか…?壊してしまわないだろうか…?
頭ではそう思っても、心の中の青い炎は冷めるどころか逆に勢いを増してゆく…。
セイの一言にユミは恥ずかしさのあまり、思わず顔を覆った。
「どうして隠すの?…ちゃんと顔見せてよ…」
顔が見たい。私だけを見て、私だけに感じて…。
セイはそう言って顔を覆っていたユミの両手をつかんだ。
「やっ、恥ずかしい…そん…なに…見ないで…」
セイの眼差しは火のように熱く、ユミを射抜いた。
その瞳に見つめられるだけで、ユミの体は熱くなって溶けてしまいそうだ…。
「どうして?ほら、こっち見て」
セイはそう言って、もう片方の手でそっと白くて柔らかい胸に触れた。
「あっ」
ユミは短く喘ぐと、体を仰け反らせる。思考回路はすでにショート寸前だ。
セイはユミをベッドに寝かせると人差し指で、胸から下腹部までゆっくりとなぞった。
「・・ん…っぁ…はぁ…」
ダメ…今日私変だ…触られてるだけなのにすごくドキドキする…。
セイはユミのパジャマのズボンに手をかけると、肌に触れないようスルリと脱がせた…。
そして下着の上からスーッとユミの一番敏感な所を撫で上げる。
「ひゃんっ」
ユミは大きく痙攣すると、シーツを握り締めるが、どうにも体に力が入らない…。
セイはそのまま下着を剥ぎ取るとユミを抱き起こし足を開かせたまま膝の上に座らせた…。
な、何?何するの?ユミは鈍くなっている頭をフル回転させて、答えを出そうとする。
が、それよりも先にセイが動いた。
「…大丈夫…辛くなったら私につかまればいい…」
そう、私ごと壊してしまえばいい…。私も壊れてしまえばいい…。
セイの顔は切ないとゆうよりは、どちらかと言えば悲愴に近かった…。
何が悲しいのかわからない。でもその表情はとても艶かしくて…。
そしてセイはユミの胸に口付けすると、そのまま何かを探し始めた。
セイはユミの胸の先にある突起をみつけると、それを口に含む…。
「んあぁっ…は・・っぁ…んぅ・・・せ、い…さっ…まぁ…っぁ」
まるで脳が焼き焦げるような感覚に耐え切れず、思わずセイにしがみつく。
それでもセイは口に含んだそれをさらにきつく吸い上げ、甘噛みする…。
ドクン。一瞬心臓が破れそうな程の鼓動。そして痛みがユミを襲う。
「ぃッ…あぁ…っんぅ・・だ…め…ぇ」
頭の中は真っ白で、もう何も考えられない…。ただ、セイにしがみつく事しか…。
「・・・っつ」
セイは背中に走る痛みに堪えながら、もう片方の胸に手をやり優しく揉みだした。
ユミの秘密の場所から太ももを伝って流れてくる愛液が、セイの膝へと流れてくる…。
…こんな…にも、感じてくれるの…?こんな私でもいいの・・・?
目から涙が一筋、頬を伝う。
何故涙が出るのかわからない…でもこんなにも求めてくれるユミが愛おしくてしょうがない…。
抱いても抱いても足りない。潤わない渇きがセイを襲う。
セイはゆっくりと指を滑らせると、ユミの内腿あたりをなぞってゆく・・・。
それに反応したユミは、またビクンと大きく仰け反った…。
・・・そして、ユミの中へゆっくり指を滑り込ませる・・・。
「ひっ」
突然の下腹部の違和感に、ギュッとユミの中に力が入る…。
どこにこんな力が?と思うほど強く、セイの指を締め付けた。
「…アツイ」
セイはポツリと呟くと、指を少し動かす。
「あぁっ…んぅ…っふ」
「…祐巳ちゃん、もう少し力抜いて…?」
セイが言うとユミは首を横にふる。熱を帯びた瞳から涙が零れ落ちる・・・。
「・・・どうして泣くの?痛い?イヤ・・・?」
セイが尋ねると、ユミはまた首を横に振る。
「…だっ…うれ…っくて…」
『だって、うれしくて』
…その一言でセイはもう十分だった・・・。乾いていた心にじわじわと水が染み出してくる…。
途絶え途絶えにそう呟くユミにセイは優しくキスをすると、ユミの中にもう一本挿入する…。
ユミの中は充分過ぎるほど潤っていて、スムーズに動かす事が出来た…。
クチュ…と、いやらしい水音が部屋に響く…。
しかしその水音はすぐにユミの喘ぎ声でかき消された・・・。
「んぁっ〜〜〜っ!」
ユミはセイにしがみつくと、必死に何かに耐えようと力を込めた・・・。
「…すぐ楽にしてあげる…。私の可愛い祐巳ちゃん…」
溢れ出した感情は、セイの心を刺激する…。もう止められない…。それでも…。
セイはユミの耳元でそう囁くと、スピードを一気に上げる。
セイのスピードに合わせるようにユミの腰も上下に動く…。
羞恥心がさらにユミの中を濡らし、セイの指は自由に動き回る事が出来た。
セイのスピードと、長い指がユミの奥深くに鈍い刺激をあたえてゆく・・・。
そして、セイがユミの小さな蕾に触れた瞬間…。
「…っ祐巳ちゃんっ!」
「あっ、あっ、ん・・あ…あぁぁぁぁぁぁ!!!」
…あっけないほど簡単に絶頂を迎えたユミの体は、ビクンッと跳ね上がると大きく後ろへ仰け反った。
「・・・っく!」
セイは慌てて支えようとしたが、支えきれずそのまま一緒に倒れこんでしまう・・・。
しばらく二人は肩で息をしていたが、やがてセイはゆっくりとユミの中から指を引き抜くと、
あろうことかユミの目の前でそれを口に含んだ。
うっとりと、目を細めて指についたソレを舐めとるセイの表情は、これ以上ないほど幸せそうな顔だった…。
「あっ…」
セイのその表情に、ユミは思わず声を漏らす・・・。
今の今までこの指が私の中に…そう思うだけで、上りつめそうになる…。
今まで自分ばかりがしてもらってるような気がずっとしていた。
でも今のセイの顔を見たら、気持ちよくなってるのは自分だけではないのかも知れない…。
ユミはセイの背中に腕を回し、きつく抱きしめた・・・。
二人は天井を見上げしばらく天の川を見つめていたが、突然セイが口を開いた。
「今まで何度も祐巳ちゃんと一つになってしまいたい、と思ったよ」
「・・・一つに・・・?」
ユミの大きな瞳をパチクリさせて首をかしげる仕草が何とも愛らしい…。
「うん。溶けて一つになってしまいたいっ、て」
そう言ってセイは、はにかんだ様に笑う。しかしユミは少し考えて呟いた。
「…私は…嫌ですよ…」
「えっ!?」
あまりにもはっきとした否定にセイは愕然とした。
同じ気持ちでいろとは言わないけれど、何もそんなにはっきり嫌がらなくても…。
セイがションボリと落ち込んでしまっているのを見てユミはクスリと笑った。
そして、セイの首に手を回すとグイッと引き寄せ、優しく口付ける。
しかしセイは何やら複雑そうな顔をしている・・・。
嬉しいような悲しいような…そんな顔だ。
「だって、一つになったらキス…出来なくなっちゃうでしょ?」
ユミの言葉に、一瞬セイの瞳は大きく見開かれた様に見えた。が。
次の瞬間、ふふ、と笑うとユミの体を抱き寄せ囁いた・・・。
・・・ほんとうだ・・・
今ごろきっと皆の願いを天の川は運んでる。
でもどうか、私の願いを取り消して。
本当は無理だって分かってたから。
本当はそうじゃないって知ってたから・・・。
ただ傍にいるだけで幸せなんだって、
ただ一緒にいるだけで泣きたくなるんだって。
際限のない感情と、限界のない欲望はまだ
この心にあるんだって・・・。