でもこれははぐれない様にする為ですからね!お姉さま!!

・・・なんて自分でも言い訳がましいと思う。どうして素直になれないんだろう。



イルカショーも無事終わり、ようやくセイも落ち着きを取り戻した。

「さて、次はどこに行きますか?お姫様。」

「お、おひめ!?」

ユミが慌てて聞き返すとセイは苦笑いしている。

「ゆみちゃん。そこで切ったらおしめみたいだよ。」

だ、だって、お姫様なんて言われたのなんて小さい頃にお父さんに言われたぐらいで・・・。

「じゃ、じゃあ聖様が王子様ですか?」

「そう。いや、どっちかってゆうとナイトかな。キミの王子様は今の所祥子でしょ?」

・・・自分で言ってもなかなかキツイな・・・。でも今はまだしょうがないか。

セイはにっこり笑ってユミを見るとユミは何やら複雑な顔をしている。

お姉さまが王子様?何か違う気がする・・・。

なんだろう・・・。まぁいいか。とりあえず今日は楽しもう。

「いいですよ。今日だけは聖様が王子様です。」

「えっ!?」

いいの?そんな事言ったら期待するよ?

「今日だけですよ!!」

「えぇ〜?今日だけなの?つまらなぁ〜い。」

セイはわざとおどけてみおせたが心中は穏やかではなかった。

信じたい自分と疑う自分。まるでジキル博士とハイド氏のようだ。


二人はとりあえず館内を一回りしてみようという事で、端から攻める事にした。

「聖様!あそこ入りましょうよ!!」

ユミは目の前に見えるトンネルを指差した。

「キレイですねぇ。まるで海の中にいるみたい・・・。」

「うん。すごく神秘的だね。でもさ、なんだか海の中と思うと息苦しくなってくるのは私だけ?」

セイは大きく深呼吸をするとユミに尋ねた。

ユミはあきれたような顔でセイを見ていたが、やがてユミも大きく深呼吸をした。

「もう!聖様がそんな事言うからなんだか息苦しくなってきたじゃないですか!!」

「ふふ…これが視覚効果ってゆうやつだよ。そして人に言われるとそう感じるのを連鎖反応とゆう。」

そんな豆知識今いりませんよ・・・。理科の時間じゃないんだから。

とりあえず息苦しくなってきたところでトンネルを出ると目の前には一際大きな水槽が目に入った。

「あれは何がいるんですか?」

「えっとねぇ、あっサメだってさ。ジンベイザメ・・・世界最大のサメですってさ。」

「へぇ・・・さぞ食べるんでしょうね?」

「そりゃあね。あんだけおっきいんだから食べなきゃ生きられないよ。」

「じゃあ大変ですねぇ、あんなのがうようよいたら魚いなくなっちゃいますね。」

「?どうして?」

ど、どうして?だって魚食べつくしちゃうじゃない・・・。

セイはユミの表情を見て何かに気づいたようだ。

「大丈夫だよ。ジンベイザメは肉食じゃないよ。

とゆうよりもサメが肉食なのはほんの一部じゃなかったかな。」

「そ、そうなんですか!?」

今まで信じてきたものが音を立てて壊れるってこうゆう事を言うんだな・・・。

なんだか以外だ。サメ=人食いだと思ってた・・・って、これは映画の見すぎか。

「ほら!ゆみちゃん。タイだ!!あっ、今度ははまち!」

「よく分かりますね?物知りですよね、聖様って。」

なんだか尊敬するなぁ・・・タイはわかるけど、はまちなんてわからないよ。

「そうかな?そうでもないと思うけど・・・だってよく見るじゃない

・・・あっ、平目!ほら、ゆみちゃんマグロだよ。

スズキに鰤!イカにエビ!!」

・・・ちょっと待て。それはここにはいないだろう・・・。

それに何だかさっきから聞きなれた名前ばかりのような気がする。

もしかして・・・。

「聖様・・・?」

セイはうれしそうに振り返る。満面の笑みだ。

「何?」

「…もしかしてお腹減ってます?」

ユミの問いにセイはさらに笑う。

「うん!当たり!ゆみちゃんエスパー?すごいね!」

いや、あれだけお寿司のネタ並べりゃ誰でも気づきますよ。普通。

てゆうか、普通にお腹減ったって一言言えばすむじゃない・・・。

一瞬尊敬した私の気持ちを今すぐ返してほしいぐらいだ。

「何食べる?」

「そうですねぇ。何があるんです?」

「えっとね、パスタと、オムライス・・・あと焼肉?」

「残念ですね?お寿司がなくって。」

ユミは少しイジワルを言ってみると、セイは苦笑いした。

「流石にここでお寿司は食べられないな。そんなに神経太くないよ。

まぁただのエゴかもしれないけどさ。」

確かに・・・。私もイヤだな。

まるで牧場とかで牛見ながら焼肉食べるようなモノだ。

でもそれがエゴでしかないこともわかってる。

結局人間も食べなければ生きてはいけないのだから・・・。

でもだからと言って目の前で食べるのはやはりムリだ・・・。

シュール過ぎる・・・。

セイはユミとつないでいた手に少し力を込めた。

まるで離さないでと言ってるようだった・・・。

「そうですね。私もイヤです。じゃあパスタかオムライスですね。どっちがいいですか?」

「う〜ん。ゆみちゃんどっちがいい?」

「私はどっちでもいいですよ?」

セイは少しの間考えていた。

「よし!オムライスにしよう!!」

「はい!」

セイは、ユミの答えを聞くとじゃあ行こう。と手をひいた。

遠足  中編3